会社で働いていた時は平均するとひと月に1回以上は出張することがあった。

車内では「出張は面倒だから嫌だ」とか「出張すると自分の仕事ができなくなるから嫌だ」という人が多かったが、私は不良社員だったので旅行気分で行ける出張は好きだった。

新幹線などで移動するときは必ず窓側の席をとって、ずっと車窓を眺めていた。

出張では長野や北陸方向にも何度か行ったことがある。
北陸新幹線に乗るときは浅間山を眺めるためにA席をとることが多かった。
そして浅間山が見えるたびに、ワクワクするような気持ちになった。

「同じ景色を何度も見ると飽きない?」という人もいるけど、私はそのようなことはなかった。
むかし中央線沿線に住んでいた時は、毎日の通勤でも車窓を見ながら景色を楽しむのを日課にしていた。

もしかしたらずっと車窓の景色を楽しんでいられるのは、私の特殊な能力かもしれない。
さすがに地下鉄では窓の外を眺めてもつまらないのだけど。

会社を辞めてからは出張という旅行ができなくなってしまったので残念だ。
社会人だったときは自分のお金で行く旅行も年に数回はしていたのだけど、無職の今はお金が減るのが怖く旅行に行くのを躊躇してしまう。

それでも、どこかに行きたいという欲求はたまっていく。
お金をかけずにできる旅行は、近所を自転車で走り回ることだ。
だから今日も自転車で市内を走り回る。

自転車で走っていたら新幹線の高架を見つけた。
長野方面に走り去っていく新幹線を見送る。
この列車はどこに行くのだろうか。
この列車がたどり着いた先には、どんな景色があるのだろうか。

列車を見ていると、私の知らない景色に思いを巡らしてしまう。
こんな想像をするのも楽しいことだと思う。

おまけ

帰りがけに見かけた稲わらロール

(撮影地:長野県佐久市)